原は入社以来、海外事業部でワイン専門カタログ「マイワインクラブ」の企画・制作に携わっている。配属からまもなくして、原が初めて担当したのは、フランス産ワインの企画。ワインの企画は、まずどういったワインがお客様に好まれるのか市場調査をし、その後チーム内でミーティングを行い掲載商品の決定をしていくのだが、仕入れに関しては担当者自ら輸入ルートの開拓を行うこともある。既存の取引先からの紹介や、大使館から情報収集を行ったりと、方法は様々。直接海外の展示会に行き交渉をすることもある。そして、希望の商品が見つかると商品の試飲、輸入ロットの交渉、ラベルや梱包の細かな交渉をしてやっと日本に商品が入ってくるのである。
しかし、商談がうまく成立したとしても簡単に安心はできない。原がまず苦労したのは、日本とフランスの感覚の違いであった。いくら説明しても、指定した梱包状態で商品が入ってこない。必要本数を確保する約束をし、書面を取り交わしたにも関わらず、取引先の手違いで入手できない。また、至急の依頼をしても休日が多いため対応に時間がかかってしまう。
「なぜ言ったとおりのことができないのだろう…。」入社1年目のとき、原は相手の対応に振り回されてばかりいた。 そんな原のモチベーションを支えていたのは、学生時代からの友人の存在である。当時、原と同じ社会人1年目だった彼らは、自分よりも過酷な状況にいながら、一言も愚痴をこぼさず、前向きに楽しみながら仕事に取り組んでいた。そんな仲間を目の当たりにし、原は「こんな状況で音を上げていられない。こいつらと同じレベル、いやそれ以上になるためには、なによりも早く結果を出し、出世してやる。」と奮い立ち、自分に対する誓いを立てた。“ベルーナの中で1番になる。”そして、自分の仕事はもちろんのこと、どんな小さな仕事でも、先輩社員から奪うくらいの勢いでただがむしゃらに取り組んでいった。
マイワインクラブが軌道にのってきた頃、ワインを自社販売だけではなく、百貨店やスーパー、レストランに提供する卸事業を行うことになった。営業担当に抜擢されたのは、原である。既に海外事業部の係長としてマネジメントに携わっていた原は、通販事業の企画・制作業務と同時に卸事業の営業を行うことになった。昼間は新規顧客開拓のため都内や地方を飛び回り、夜遅く会社に戻ってきてからは、カタログのレイアウトや仕入れのチェックを行うという毎日。休みがほとんどとれないくらい忙しい日々が、何ヶ月も続いた。
そんな時、1件のクレームが卸先から入った。 「こんな味だと思わなかった!すぐに回収してくれ。」 食べ物の趣味や嗜好が異なるのは当然のことだが、営業担当としてはすぐに駆けつけ、丁寧に1件1件要望を聞いて回らなくてはならない。また、卸事業の全てを担当していたため、よくも悪くもお客様の声はすべて原に向けられる。全国各地にいるお客様や取引先の全責任を負うのは自分。遠方のお客様でも、原はすぐに駆けつけ問題解決に奔走した。 そのような原の迅速で丁寧な対応が実を結び、新規取引先は順調に増え、同時に卸事業の売上も伸びていった。原はその時、いかにお客様の声が重要か身を持って実感した。「今までは売上が立てば、それがお客様に認めてもらったことだと勘違いしていた。これからはもっと本当の意味で、お客様一人一人の喜ぶ顔を想像しながら仕事をしよう。」原は深く反省し、今まで以上にお客様目線を大切にすることに全力を注いだ。まず、掲載するワインはお客様にとって「分かりやすく・選びやすく・飲みやすい」ものに徹底的にこだわり企画した。そして商品の仕入れをする際にも取引先がミスをしないよう、細かな部分まで指示を出し、納期も遅れないよう先の先を読んで発注するようになった。更には、商品を受け入れる倉庫のオペレーション担当部門との連携を深め、お客様に商品を届けるまでに関わる人全てが、お客様のために行動するよう指示を出していった。
現在「マイワインクラブ」はワイン通販国内売上1を2年連続で獲得するまでに成長。利用客の年間リピート率は約70%以上と、市場の中で確固たる優位性を誇るまでになった。
しかし、原の野望はこれでは終わらない。「今の目標は、マイワインクラブをカタログだけではなくネット通販でも1にし、より多くのお客様に喜んで頂くこと。これは、あと2年以内には達成したいですね。さらに、当社オリジナルで開発したアルゼンチンワイン『コンドール・アンディーノ』は生産地からラベルの細部に至るまでこだわった自信作。これを、アルゼンチンワインの中でbPブランドにすることが今の目標です。」 入社当時に立てた目標、“ベルーナの中で1番になる”。この目標に対しては、「まだまだですね」と笑いながらも、原の瞳は、いまだ熱意と闘志で溢れていた。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |