入社3年目、和久田は第7企画室でヤングファミリー向けのインテリアや、生活雑貨の商品企画を担当することになった。商品企画の仕事は、過去の購買データからお客様のニーズを分析したり、直接マーケットに足を運び、市場調査をしたりするところから始まる。そしてそれを基に、どのようなデザインで、素材は何を使うのか、色はどうするのか、価格はどの程度に設定するのかなど細かい点を決めていく。それらが決まると、今度は取引先のメーカーへ企画依頼をする。分析・検証結果から導き出された商品の企画案を取引先に伝え、サンプルを作成してもらい、それをもとに更に細かい部分までこだわって一つの商品を作り上げていく。この段階がとても難しい。例えば、一口に『水玉』と表現しても、出来上がったサンプルは柄の大小、色味やニュアンスが自分の企画案と微妙に異なることがある。自分の頭の中にあるものを他の人を巻き込みながら形にしていくため、差異が生じるのは仕方のないこと。しかし、諦めずに最後までこだわり続けることで、よりお客様のニーズに近い商品が出来上がる。 そんな和久田を見ていた上司が声を掛けた。 上司から指摘され、自分自身の考えの未熟さに気づいた和久田は、以前のように仕事への熱意ばかりで突っ走ることはなくなった。相手とのコミュニケーションは、相互理解があって初めて成り立つもの。一方的に伝えるのではなく、相手の真意や気持ち、自分が発した言葉をどう理解したのか丁寧に確認していくようにした。 「お客様はもちろん、私にとって大切な人たちが幸せになるような商品企画をしていきたい。」 |
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