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高橋は研修後、マーケティング室に配属された。将来会社を動かすためには事業モデルや収益構造などまずビジネスの仕組みを知る必要がある。そのため、通販事業の要となる販売活動全般をコントロールし、多くの部門と関わりがあるマーケティング室での業務は、高橋にとって今後の糧となることばかりであった。中でも注力したのは「顧客サービス」の強化だ。ある日、高橋はコールセンターでの研修中にお客様から返品送料についての要望をよく耳にしていたことを思い出した。そこで、当社ではまだ着手していなかった「交換無料引き取りサービス」を考えた。交換注文の際、返品商品を無料で引き取りに伺うことでよりお客様に付加価値を提供でき、店舗のように商品を手に取れない通販の不安も和らげることができる。そして、今までは返品になり売上に繋がらない商品が何点もあったが、それらを交換商品へと促すことで売上に変われば、会社にとっても大きなプラスになると考えたのだ。高橋はすぐに上司に提案した。すると上司からは「納得出来る企画書があれば検討してみよう。」という前向きな返事。その日から高橋の挑戦が始まった。
高橋は、企画書作成に没頭した。返品送料を無料にする事で無料引き取りの返品は何件増えるか、交換注文は何件見込めるのか、商品を引き取るコストを幾らまでに抑えれば利益に繋がるのか。様々なリスクも考慮する必要があった。何度もシミュレーションを行い、気付けば100枚以上の資料を作っていた。当然、上司を納得させるだけのデータを初めからまとめられるはずもなく、提出しては突き返される試行錯誤の日々。途中で諦めるのは簡単だったが、高橋は自分で発案した企画書を投げ出すことだけはしたくなかった。しかし、「売上に繋がる答え」がなかなか見えて来ないことに大きな不安を感じていたのも事実だった。「もし、成果を出せなかったらどうしよう。先輩にも手伝ってもらっているのに、ただ時間と労力の無駄になってしまう。」途中で立ち止まりそうになった。その時、背中を押してくれたのが上司だった。「不安であれば、実践的なテストをやってみたらどうだ。」しかし、テストを行うとしてもコールセンターなど、各部門の協力が必要となる。すると、「他部門の調整は俺に任せろ!」と先輩が声を掛けて来てくれた。高橋の熱意に応えるように、多くの仲間が力を貸してくれた。大きな目標に向かって必死に努力している姿が周囲を動かしたのだ。そして、コールセンターの協力を仰いでの実践的なテストは大成功。テスト結果を踏まえた企画書は見事に通り、年間で数億円もの売上に繋がった。気がつけば高橋が発案してから1年以上が過ぎていた。
「このプロジェクトは、1人では絶対に出来なかったと痛感しています。上司や各部門の方々の協力がなければ成功は考えられませんでした。1年目から大きな裁量を与えていただき、色々なことにチャレンジできたことや、大勢の方達と協力をして成果を出せたこと、仕事は多くの方達の情熱と協力が重なることで良い結果が生まれるということを学びました。辛い時もありましたが、この経験は私にとって大きな財産です。」
現在高橋は、これまで培ってきたお客様目線からのサービスをより具体化させるために、企画室と協同し「ワンランク上の上質な通販アパレルの確立」を目指して、日々奮闘している。
「もちろん、簡単なことではありません。しかし、やった後悔は一瞬ですが、やらなかった後悔は一生残ります。より多くのお客様が喜んで頂けるようなサービスや仕組みを作り上げ、それが最終的にベルーナの収益の向上に繋がっていくことが今の仕事の醍醐味であり、最大のやりがいです。」
「私は案件に対し、まず出来ない理由を思いつく限り挙げます。そして出来ない理由を1つずつ、どうすれば出来るようになるかを考え、自分でも解決出来ない事は上司に相談をし、アドバイスをいただきながら解決策を考えます。中途半端な事や、論理的ではない発案はもちろん却下されますが、そこで引き下がるのか、立ち向かうのか。私はもちろん立ち向かいます。そして、“絶対に達成出来る “と信じ取り組みます。大きな裁量が与えられる反面、先輩社員と同じレベルもしくはそれ以上の事が求められますが、こんなにやりがいのある環境は中々ないですよ。」高橋は、頭の中にある次の提案企画を成功させるために今日も走り続ける。 |
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