![]() ![]() ベルーナのメンズアパレルは、60歳代のシニア層をメインターゲットとし、主に折込チラシなどのマス媒体と顧客に向けたカタログで商品展開をしている。内田は前職での経験を活かし、2006年以降、メンズアパレルの商品企画、媒体制作など幅広い仕事内容に関わっている。 そして立てた目標―、それは“小売ランキングでメンズアパレル部門ベスト50位に入ること”であった。メンズファッションはレディースに比べ、もともとファッション性に乏しいため、お客様に飽きられないように前年度の商品と差別化をしていくことが非常に難しい。また、価格もお客様のニーズを考えると簡単には上げられない。今までとは変わらない価格でかつ質の良い商品を提供するためには、もしくは価格が上がらない方法で付加価値を感じてもらうためにはどうしたら良いのかを徹底的に考えていった。通販は「この価格でこの質であればお買い得」とお客様に思ってもらえないと、商品を買ってもらえない。そのため、とにかく街へ出て市場調査をし、ときには国内のメーカーを通さず、直接中国の工場とやりとりをしながら商品を作った。お客様が買いたいと思える商品を届けたい。その一心で、メンバーと一致団結して試行錯誤する日々が続いた。 そのような中、ある商品に問題が生じた。企画した当初から1000セットの販売をしたパンツ商品だったが、他の商品と比較するととにかく返品率が高いのである。それにまず気付いたのが、チームの中で商品発注をしていたメンバーである。 「返品の理由は、“丈が長すぎる”というものがほとんどです。しかし、他のパンツ商品と丈はほぼ変わりません。きっと、他に理由があるのではないでしょうか?」 それを聞いた内田は、すぐさま問題の商品を工場から取り寄せ、品質管理の部門など関連部門を集め緊急会議を開いた。 しかし、実際に何点か計ってみても丈はやはり今までのパンツと変わりはない。 「…なぜお客様は、実際の丈より長いと感じるのだろうか…?」 一回の会議では原因は分からず、改善点を探るため何度も集まって話し合うことが続いた。そして、あるときメンバーの一人が一つの仮説を立てた。 「丈が長く感じる、ということは履いているうちにウエストからずり落ちてきてしまっている、ということも考えられます。つまり、ウエストのゴムが弱いのかもしれない。次の発注からは、ウエストゴムを今までよりも強度のあるものへ変更しましょう!」 すぐさま改善点を実行した。すると、みるみるうちに返品率が下がり、歴代でも類を見ないほどの大ヒット商品となったのである。 「我々の仕事の本質は、お客様が喜んでくれる姿をイメージすることにあります。他部門を巻き込みながら、お客様のためにチームが一致団結してパワーを発揮した経験でしたので、マネジメントをしている立場としてはとても嬉しかったですね。また、自分たちの発見から売上が伸びたことはメンバーの自信にも繋がり、チームの士気も高まりました。」 この経験をきっかけに順調に売り上げを伸ばしていった結果、目標としていた数字をはるかに超え、紙媒体におけるメンズ売上ランキングの日本一となった。 「日本一というのは、メンバーのモチベーションにもなりますし、仕事も優位に進められるので気持ちのよいものです。しかし、目指すなら“圧倒的日本一”を私は目指したいですね。今まではシニア層がメインでしたが、これからはその核をしっかり押さえつつ、40代、50代といった購買意欲の高い層にも積極的にアプローチをしていきたい。さらに、商品のカテゴリーも、ビジネスからカジュアルまで幅広く網羅し、ネットや店舗ともジョイントしてメンズアパレルの認知度を高めていこうと思っています。 そのために大切にしていることは、メンバーには思い切って大きな金額の裁量を持たせることです。その方が、成果も分かりやすくやりがいにも繋がる。また試行錯誤しながら様々な経験ができるのです。ですから、新入社員で入ってくる仲間にも、小さくまとまらずに、多少型破りでも“出る杭”になってほしい。“私に任せてください”って虚勢を張れる人が良いですね。今後は、新しい層に仕掛けるために商品数が増え、単純に仕事量も増えます。初めての試みのため、もしかしたら初めは売上が出ないかもしれません。しかし、大きくジャンプするためにはまずはしゃがんで力を蓄えることも必要だと思います。そんな刺激的な時間を、一緒に突っ走ってくれる人とともに働きたいですね。」 |
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